2021.12.22
サーバー
XSERVER から XSERVER のサーバーの引っ越しについて
ロリポップ!マネージドクラウド というサービスは、2018年4月にリリースされていましたが、リリース時に一度 a-blog cms が動作するか試してみたのですが、ionCube Loader を動かすことができず利用できないサーバーとなっておりました。
2021年末にリリースされた a-blog cms Ver.3 で ionCube Loader が廃止されたことから使えなかったサービスも利用可能になるということで早速試してみることにしました。
ロリポップと言えば、月額220円で a-blog cms も動作させられる安価なレンタルサーバーで、仕事で利用するというよりは個人サイトを立ち上げるためのサービスという認識の方も多いかもしれません。
しかし、何年か前に ロリポおじさんをリストラし、月額 2,200円のエンタープライズプランのように大規模・法人向けのプランも用意されるようになっています。
そんなロリポップですが、これまでのサービスとは別格な マネージドクラウド というサービスでは、月額1,078円+従量課金の1プランのみで オートスケール を標準的に利用できるサービスになっています。
サーバー負荷に応じて、自動的にサーバーの台数を増減させる機能のことで、ウェブサイトにアクセスが集中したときにサーバーを自動で増やし、アクセスが少ないときはサーバーを減らすことで、常に必要最小限のサーバー数でシステムを安定的に稼働させることができます。
上記の画面は、ロリポップ!マネージドクラウド のコンソール画面にある「現在のトラフィックとコンテナ数」のグラフになります。サーバーの負荷が上がった時に 5台にコンテナ数が増えているのが確認できますが、アクセスが無くなると 0台まで減っています。
Apache Benchを使用し、10ユーザーが合計100アクセスを a-blog cms の site テーマでトップ・一覧・詳細の3つのページに対して順番にアクセスしテストしてみました。この場合、コンテナの増加は無く1コンテナでの処理となりました。
ページ | 処理にかかった時間 | 1秒間に処理できる回数 |
---|---|---|
トップ | 4.552 seconds | 21.97 [#/sec] |
一覧 | 6.630 seconds | 15.08 [#/sec] |
詳細 | 5.541 seconds | 18.05 [#/sec] |
順番に処理していますので、300アクセスを15秒ほどで処理したことになります。
次に、Apache Benchを使用し、100ユーザーが合計1000アクセスを上記の 3つのページに対して同時にテストしてみたところ、コンテナ数が 5つに増加し、以下のような処理結果となりました。
ページ | 処理にかかった時間 | 1秒間に処理できる回数 |
---|---|---|
トップ | 18.800 seconds | 53.19 [#/sec] |
一覧 | 17.869 seconds | 55.96 [#/sec] |
詳細 | 16.822 seconds | 59.45 [#/sec] |
3000アクセスを 5台のサーバーで処理し 20秒以下で処理が完了しています。このようにサーバーが忙しく動く必要がある時に台数を増やして処理することでしっかりサイトを動かすことができることがわかります。
また、オプションの コンテンツキャッシュ機能(1,650円/月)を利用することで、さらにパフォーマンスアップも未検証ではありますが可能になると思われます。
最大の特徴である オートスケール機能 が必要な時には、オススメできるサーバーになります。
これまでは AWS や Azure のようなクラウドサービスで構成をしっかり作り込んで提供する必要がありましたが、こちらの ロリポップ!マネージドクラウド であれば数分で環境構築が完了してしまいます。あとのサーバーの保守は、サーバー会社側にお任せで済むというところであれば制作会社としては嬉しいサービスではないでしょうか。
心配な点としては、利用料金が月額が固定額になりません。 運用ルールの設定で利用料金が指定の金額を超えた時には、オートスケールをOFF にするような設定もできますので、決められた予算の中での運用は可能ではあると思います。
CMSの管理画面で間違えてデータを消してしまった際の復旧を考えると、共用サーバーでもあるバックアップをオプションで提供いただけると実際にお客様に提案できそうです。